Nikon FE2

 

このカメラは香港で購入しました。

 当時我が家は海外旅行が流行していて、けっこうあちこち歩いてい

ました。

 香港は1997年7月1日に主権がイギリスから中国に返還されました

が、その10年程前に3回訪問しました。香港は自由貿易の港町で、

とても活気があふれ、明るい町でした。

香港島の繁華街は比較的狭く、電車も2系統しかなく、小一時間もウロウロすればだいたいの地理は理解

できました。九龍半島とは地下トンネルとフェリーで結ばれます。地下鉄は清潔な車内と、地下鉄構内に

90分以上滞在すると、改札口を出られなくなる仕組みで、女性が一人でも安心して利用できました。

さて、上の写真のような繁華街の一角に間口一間半ほどのカメラやさんがありました。

「你好」と言って入ると、日本製のカメラが店の棚に所狭しと並んでいます。

 ニコマートを肩に掛けていたので、店員が 「おまえのカメラを見せろ」と言ってきました。

奥にいた店員も出てきて、カメラを触りながら「これは良いカメラだ」としきりに言っていました。

「これは古いカメラだ。この店には新しいカメラがたくさん展示してあるじゃないか。」

と言うと、「これは商品だから、触れない。」と言いました。「自分たちの稼ぎではメイドインジャパンのカメラ

なんて手に入らない。」とも。

 

 次の日、帰国便はお昼過ぎ。格安ツアーは、夕方着いて中1日

おいて次の日、昼頃に帰国というパターンが多いですね。

ツアーの皆さんはdutyfree ショッパーズで最後のお買い物。

そこで、件のカメラやさんをもう一回尋ねてみる事にしました。

 店員も覚えていて、笑顔で迎えてくれました。

FE2bodyがいくらか確かめると、なんとHK$2,300

                  Nikon FE2 
日本円にして約46,000円 国内価格よりも34,000円も安い!一体この差は何なのだろう?

こりゃあ、旅費が浮くと財布を見ると、うっ・・・HK$300たりない。

ダメ元で「プライスダウン プリーズ」と言うと、奥から昨日と同じ店員が出てきて、

「おまえのカメラをHK$500で譲ってくれ」と言いいました。

即「OK」で商談成立。

長い間使ったカメラで、手放すのは躊躇われましたが、FE2の魅力にはあらがう事ができませんでした。

ニコマートのストラップをはずし、フィルムを取り出し、レンズをはずして奥の店員に渡しました。

店員は黄色い歯を見せてにっと笑い、うれしそうにニコマートを手に取り、空シャッターを切りました。

HK$1,800を支払うと、「書類の記入があるから少し待て」と。

腕時計を見せて、「あと30分しかないから急いでくれ」と言うと、「OK」と前の店員が言って、電話を取って、

広東語で「▽×◇アイヤー#□FE2△%&!!」と叫びだしたのです。奥の店員は相変わらずニコマー  

トを触りながらにやにやしています。「早く品物をくれ」と言うと、「ここには品物がないので、今、届けるよう

に電話をしたのだ。待ってろ」と言って領収書をくれました。これって超ヤバイ状態じゃないかな〜?

 重たい時間が流れました。

 疑惑がむくむくと頭をもたげ、不信感が最高潮

 に達した頃「毎度〜」といった感じで、自転車に

 乗ったオッさんが袋を持ってきました。

 「FE2一丁ね。」とか何とか言って袋をカウンタ

 ーに置いて「サイツェーン」といなくなりました。

 前の店員は金色のFE2の入った箱を丁寧に

 開け、中を確認し、保証書に店印を押して、「どうぞっ」 と渡してくれました。取説や保証書等を取り出し、 

箱を処分してもらって、ストラップを通し、レンズ  

を装着して、カメラやさんを後にしたのです。奥の店員が手を振っていました。集合時間まであと5分。

「タクシー!」

 英文の取り扱い説明書

Nikon FE2 の取り扱い説明書を見て「ウ、ウーン」とうなっ

てしましました。

なんと英文の説明書なのです。

さすがに香港で販売されている品物です。電池蓋を開ける

硬貨もあちら仕様ですね。

 

ちなみに国内販売のNewFM2の取り扱い説明書はちゃんと

日本語で書かれていて、硬貨も日本の100円玉です。

コピー商品が横行しているという噂の地域での買い物でし 

たので、少し心配になりました。

店の展示品を充分確かめて、購入を決めたのですが、

自転車のオッさんが、展示品と同じメイドインジャパンを配達するとは限りません。

外側だけは精密にコピーして、中身は粗悪なものを詰めるなんて日常茶飯事です。

SOMYだとかPenasonicなんてブランドが平気でまかり通っています。

帰国してからNikonの SS に持ち込んで見てもらいました。(この場合のSSはサービスステーション)

すると、正真正銘のNikonの製品です、と保証書を付けてくれました。

Nikon FE2 での作品

1991 吹上浜砂の祭典写真コンテストより。推薦作品と同様のショット

 

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